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知的財産サロン 知 的 財 産 サ ロ ン:『フジサンケイ ビジネスアイ』オピニオン面「知的財産サロン」毎週金曜日掲載

2004/3/19紙面掲載
あなたもなれる? 発明長者[3] 発明者は誰なのか?
開発研究の記録をとり自ら保管を
大手は出願を企業名でするのが通例
「知財ビジネス&ビジネスシステム」中岡浩

■特許願に自分の名前が記載されているか■

 職務発明で報奨金を得られるか否かを明確に示す書類がある。特許成立前ならば、特許出願のため特許庁へ提出された願書(特許願)である。
特許願に記載がないと職務発明長者への道も露と消えてしまう。これまで日夜研究に没頭し、明細書や図面をせっせと作った記憶はあるが、その後どうなったのかを確認していなかった、などということはないだろうか。そのような向きは、特許願を一度確認してみる必要がある。
 特許願は、企業内で確認できる。知的財産部、法務部など専門部署があれば、問い合わせてみるとよい。これらの部署では企業内の知財関連データや契約書を管理している。進んだ企業では、知財関連のネットワーク・データシステムを設置し、企業内の研究開発状況とともに特許出願の状況を管理している。このようなシステムに一度アクセスしてみるのも一つの方法だ。企業内に専門部署やシステムを設置していない場合は、上司や経営者に直接問い合わせることになる。
通常、発明者に特許願を見せないということはないと思われるが、万が一、企業内で確認できない場合、特許庁の出願公開で確認できる。出願公開は特許庁の発行する公開特許広報でなされるが、遅くとも出願日から一八カ月経過すれば必ず公開される。なお、公開特許広報は特許庁へ出向かなくともインターネット上にある特許庁の特許電子図書館(IPDL)などのホームページからでも検索できる。
 特許願には、発明者と特許出願人の住所・氏名が記載されている。発明者は発明を成した人であり、日本の法律の下では自然人にしか認められていない。また未成年でもかまわない。特許出願人は発明の権利者となる者で、自然人、法人を問わない。ただし、法人格のない団体は出願できない。
発明者や出願人が複数いる場合、特許願にすべて記載されている。ここに自分の名前の記載がなければ、発明者と認知されていないことになる。「じゃあ、あの時企業からもらった金一封は何だったのか」という研究者がいれば、それは特許法三五条でいう発明の対価ではなく、単なる奨励金や寸志の類のものであった可能性が高くなる。
日本の企業では研究者から企業へ職務発明の権利を移転させることが多い。有力企業の場合、各種規定の整備や譲渡契約書の締結によって出願の前に権利移転を済ませ、企業名で出願するのが通例である。このため企業が出願手続きの労力や出願費用等の負担をする。
研究者にとっては、企業側がサポートしてくれるので楽なように思えるが、権利意識が希薄化してしまう可能性がある。自分の名前が発明者欄に掲載されていなくとも見過してしまうのだ。
対して中小企業やベンチャー企業の中には研究者自身の権利取得を促すところが散見される。これは研究者の開発意識を発揚させる効果を狙ってのことであるが、同時に研究者の権利意識を醸成する効果もあろう。

■意外にあいまいな発明者の認定方法■

 自分が発明者になっていなかった場合、どうすればよいのか。当然、まずは出願人に対して自らの地位の確認を行う必要がある。また、特許庁に対して異議や無効審判の申請をすることになる。
では、発明者と認知される条件は何なのであろう。特許法には発明者に関する明文規定はなく、一般的に「発明の創作行為に現実的に加担した者」と考えられている。
発明者には、資金や設備を与えた者、研究テーマを指示した上司、開発にアドバイスを与えた者、研究を補助した要員などは含まれない。あくまで発明を着想し、これを具体化し完成させた者が真の発明者である。
複数人の着想による創作行為ならば、共同発明者となる。しかし職務発明では、研究開発環境が他の研究者と密接な関係を持っていることが多い。
例えば部課係やチーム等で共通の研究テーマを掲げ、そこに複数の研究者が存在すると、個人的、独創的な着想であることを公言しにくいといった心情が働く場合もあるし、共同発明者の範囲を明確化しにくい場合もある。このため、着想に直接関係のない上司や関係者を共同発明者として申請してしまうケースがある。
極端な場合、研究成果を文書化した者も共同発明者に含めている場合や、逆に人数合わせから、共同発明者であるのにも係わらず、若年であるといった理由で外されることもあるという。
これが企業内だけならまだしも、他企業や研究所等との対外的な共同研究の場合、相手方のメンツや力関係によって、発明者に入れてしまうこともある。発明者の認定方法が意外にあいまいなのである。
特許法では共同発明者の権利を規定しており、共同発明の場合は出願や特許権の使用に関しては共同発明者全員が申請や同意する必要がある。つまり、発明者の認定を安易に操作してしまうと、後々の事業運営に影響してくることになる。権利意識の低い、極めて日本的な発想、やり方だと言わざるをえない。
発明者自身が発明者であることを証明するには、日ごろから開発研究の記録やメモをとり、活動記録などを自ら保管しておくことである。そこには研究開発における人間関係とその役割分担、研究開発への貢献内容も加えておくことが望ましい。
 発明とは権利であり、権利とは自ら守る者に与えられる。自衛意識が必要である。たとえ特許の出願者とならなくともよいという純粋な研究者であれ、自分が発明者であるということまでも捨てる気持ちはさらさらないだろう。職務発明としての報奨を得る場合も含め、自分の発明がどのような形で取り扱われているのかを一度確認してみよう。


(ミニ用語解説)

◇職務発明の帰属◇
発明の帰属とは、誰が発明権利者になれるのかということである。発明者とは、発明の創作行為に現実的に加担した者であり、これは万国共通である。しかしながら職務発明における権利の帰属については、実は国によって考え方がばらばらなのである。日本やドイツの制度では、職務発明の原始的な権利の帰属は他の発明同様に発明者にある。逆に、英国やフランスでは職務発明の権利は企業に帰属することになっている。
米国では、従業員と企業の合意で決まることになっている。また発明を目的とする研究開発をするために雇用された従業員が成した発明は、当事者間の合意がなくても企業側に発明の権利があるとされている。こう見てくると、他国の従業員にとっての状況の方が、日本よりも意外に厳しそうである。

◇特許電子図書館(IPDL)◇
特許電子図書館(Industrial Property Digital Library)は、特許庁の保有する産業財産権情報のデータベースをインターネットで利用できる仕組み。誰でも無料で、基本的に土・日・祝日を含めて二十四時間利用できる。データベースは特許、実用新案、意匠、商標、審決の広報類及び関連情報で、データ総数は約四千五百万件。初心者向けサービスをはじめ、現在四十七種の検索サービスメニューがある。
http://www.ipdl.jpo.go.jp/homepg.ipdl


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